お金がなかったので事故車を購入したがお買い得だった
無職になってしばらく経ち貯金通帳も寂しくなってきたので、
そろそろ働かなくてはならないと思いハローワーク通いが続いていた。
どれもこれも割に合わない仕事だったが、
その中に条件に合う仕事を見つけた。
職場は遠く公共交通機関も通っておらず、
車通勤が必須だった。私は金銭苦で車を売っていたので
格安の車を購入することにした。
走ればいいと探したところ3万円の車を見つけた。ただし事故車であり、
そうでなければこんな値段で買えないなと納得したのである。
私はその事故車を試乗することにした。
思いのほか快適に運転ができる。
ディーラーも感じがいい男であり、長年事故車を扱っているが、
すぐにトラブルを起こして運転できなくなるような事は
滅多にないという。私はその言葉は話半分で受け取ったが
実際3万円で買えるという事実は非常に魅力的だった。
いろいろな手数料込で13万になるが、
私の予算はその前後だったので選択の余地はあまりな
かった事情もある。私はその事故車を購入することにした。
さていつまでもつやら……と故障してもしょうがない
というスタンスであったが5年たった今でも私はその車で通勤している。
少し話は外れるが、一度レールから外れた後の人間も
また事故車のような扱いを受ける。
しかし無職になった人間、そして事故車も活躍の場を与えられれば、
活躍することもできるのだ。私は事故車を通じて新しい価値観を
手に入れた事に満足して今日もマイカーと共に通勤する。